漢方とは

漢方医学の基本は『良医は未病を治す』

「未病」とは「健康と病気の間」を指し、対処法として生活改善・体質改善を促し、発症を遅らせ、生体がもっている回復力や免疫力を高めることで治すことです。

歯科口腔外科領域における漢方処方

心身医学的要因による顎関節症、扁平苔癬、舌痛症など、西洋医学的アプローチで症状が改善しない症例は少なくありません。このような症状改善が困難な症例に対して、漢方薬がかなりの改善効果を示す場合があります。

心身一如、医食同源などの概念が漢方医学の根底をなしています。

口腔漢方の対象となる病気

当院では種々の歯・口腔・顎顔面の治療に東洋医学を取り入れています。

  • 口腔乾燥症

  • 顎関節症

  • 舌痛症

  • 口内炎

  • その他

シンタニ歯科の漢方治療

口腔がん予防

口の中には舌がん、歯肉がん、頬粘膜がん、唾液腺がんなど様々ながんができます。また、白板症や紅板症などのがんになる可能性が高い粘膜病変も発生します。

口腔がんに対する漢方療法では、体力や免疫力を高め、がん予防・がん再発予防に適応します。

漢方療法の内容としては、人参・黄耆・白朮(または蒼朮)・茯苓・当帰・芍薬・川きゅう・地黄・桂皮などの生薬の組み合わせから構成されます。

このうち、人参・黄耆・白朮(または蒼朮)・甘草・当帰の5種類の生薬は体力や免疫力を高める効果があります。芍薬・川きゅう・地黄・茯苓・桂皮は、血液循環を良くし、骨髄機能を高めて白血球減少を改善する効果があります。これらの漢方療法が多能性造血幹細胞の活性を促進します。

多能性造血幹細胞活性の増強は、生体防御に関与しているT細胞・B細胞・NK細胞・マクロファージ・顆粒球・血小板などの活性化にも間接的につながり、漢方療法による骨髄機能に対する種々の効果を説明することができるのです。

漢方療法の抗がん作用

漢方療法に、がんの発生や再発の予防する効果や、転移を抑制する効果があることが報告されています。

富山医科薬科大学和漢薬研究所のグループは、ある種の漢方ががん細胞の悪性化進展や転移を抑制することを報告しています。

マウスを用いた実験で、ある種の漢方薬がこのようながん細胞の悪性化進展や転移を抑えるという結果を、複数の実験モデルを用いて示しています。

悪性化進展の実験モデルを用いて検討した結果でも、悪性転化が有意に抑制されることが明らかとなりました。

作用機序としては、漢方の成分によるフリーラジカルの消去作用や、免疫系の賦活による抗腫瘍効果などが推測されています。

マクロファージの活性化、抗体産生増強、種々のサイトカイン産生誘導などの免疫増強作用、抗癌剤や放射線治療による骨髄における造血機能障害や免疫抑制に対する保護作用などが証明されています。

歯科金属による健康被害に対する漢方療法

歯科の金属による健康被害とは歯科治療で詰め物や被せ物に使われている金属がアレルギーの原因となり、お口の中や体に異常な反応を起こすことです。

金属は水分のあるところでイオンとなって溶け出しています。口の中には唾液があり常に水分がありますので、歯科金属は継続的にイオン化して溶けだしているのです。この金属イオンが体の免疫細胞と過剰に反応してアレルギーとなります。

症状としては、

  • ピアス・ネックレス・指輪などのアクセサリーが当たるところが赤くなったり痒くなる。

  • 歯医者で詰め物をしてから調子が悪い。

  • 口の中の金属の周りの歯茎が白かったり赤かったりする。

  • 味が変である。

  • 口内炎がなかなか治らない。

  • 手のひらや足の裏に水ぶくれが出来ている。

  • アトピー性皮膚炎のような症状がある。

以上のような症状です。

歯科金属による健康被害に対する漢方療法では、口の中の詰め物や被せ物の金属を取り除くことに加えてDETOX(解毒)により有害な金属イオンを体外に出すことを行います。

ある種の漢方は、発赤と乾燥の強い急性期のアトピー性皮膚炎のような症状で、赤く、カサカサした皮膚の症状の方に有効です。

石膏(セッコウ)による解熱作用、鎮静作用、消炎作用、知母(チモ)による解熱、鎮痛、鎮静、消炎作用、粳米(コウベイ)、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)により体の熱を冷まし、痒みを沈め、潤す効果があるといわれています。また、違う漢方は痒みと赤みでイライラする方で、乾燥はそれほどでもない、ややどす黒い発赤の症状に使用します。

黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)などの効果で、体の熱を冷まして活発になり過ぎた機能を鎮めることで症状に対応します。

口の中が変、舌が痛いなど舌痛症

舌痛症とは、口の粘膜に生じる原因不明の痛みで、口腔内灼熱症候群と同様に「口の中がヒリヒリ、焼けるような痛みまたは不快な異常感覚が、毎日繰り返すもので、臨床的に明らかな原因疾患を認めない病態」です。

舌痛症の痛みの程度は様々ですが、ひどい場合には痛みのために仕事や日常生活の障害を余儀なくされ、ストレスなどが舌痛症の誘因となることが知られています。舌痛症の患者さんでは、口の乾燥や味覚障害を自覚している人も少なくありません。

舌痛症・口腔内灼熱症候群に対する漢方治療

現在までのところ、舌痛症・口腔内灼熱症候群に対する科学的な有用性が証明されている療法はありません。報告されているものには、クロナゼパム(抗けいれん薬)の内服療法や局所療法がありますが、眠気を来たすという副作用があります。また、αリポ酸という抗酸化剤や抗うつ薬の大量投与を勧める研究者が、これらの薬剤は、いずれも報告者によってその効果がまちまちで、未だその有用性に関する科学的根拠は十分ではありません。

漢方療法では、疲労倦怠、食欲不振などの体調不良に対しての全身的な状態の改善を行います。体力や気力を補い、舌痛症・口腔内灼熱症候群の症状を状態を改善させるのです。

当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)、蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、人参(にんじん)、桂皮(けいひ)などで気や血の巡りなどを良くすることで症状の改善を図るものです。

また、別の漢方薬では、体の免疫反応を調整し、炎症をやわらげる働きを応用して症状を改善します。高ぶる神経を安定させて、心と体の状態をよくします。体力が中くらいで、ミゾウチから肋骨下部が張り、胸苦しさやノドのつかえ感のある人に向きます。抑うつ感や不安神経症などにも適応します。

炎症をしずめる柴胡(サイコ)、黄ごん(オウゴン)や、気分を落ち着けるのに役立つ半夏(ハンゲ)、厚朴(コウボク)、水分循環をよくする茯苓(ブクリョウ)、滋養作用のある人参(ニンジン)炎症や痛みを緩和する甘草(カンゾウ)、蘇葉(ソヨウ)大棗(タイソウ)などで症状を緩和します。

味覚障害に対する漢方療法

ある日、食べ物の味がわからなくなる味覚障や味がおかしくなる異味症に陥る人も少なくありません。舌の上面にある味蕾(みらい)から神経を介して脳に伝わって感じる経路のどこかに異常があると味覚障害が生じます。

味覚障害には亜鉛や銅などの微量元素不足が関連し、それらの補給によって改善することがあるが、それらの薬剤で改善しない場合も多くあります。

味覚障害に用いられる漢方薬では、黄連(オウレン)、黄ごん(オウゴン)、黄柏(オウバク)、山梔子(サンシシ)などにより、体の熱や炎症をとり、機能の調整を行い、イライラ感、不眠、などのストレスも緩和します。気分がイライラし胸苦しく胃部がつかえ,口が苦いなどの症状に有効です。

別の漢方薬では、白い苔が生えたような舌になる「白苔」がみられ、口が苦く粘ったりするようなときや、寝つきが悪い、眠りも浅い、胸苦しい口が苦い、口が粘る、食欲がないなどの症状がみられるときに使います。

口内炎に対する漢方療法

細菌やウイルスに感染することによってできる口内炎もあるが、多くを占めるアフタ性口内炎についてはその発症の原因として鉄分やビタミンの不足、ストレスや睡眠不足、歯や歯ブラシなどでの粘膜への物理的刺激、唾液の不足などによる口腔の乾燥、口腔内の不衛生、免疫学的異常が関わっているのではないか考えられている。また、口内炎になりやすい体質の人もいる。

漢方治療では、ストレスが多く、舌のうえに白苔が多い、地図状舌などに対しては、口腔粘膜などの消化粘膜の調整を行い、胃腸の働きをよくして、口内炎そのものとともに口内炎による食欲不振を改善します。熱や炎症をさます黄ごん(オウゴン)、黄連(オウレン)、健胃作用や粘膜に対する障害緩和作用のある乾姜(カンキョウ)、 大棗(タイソウ)などが加わります。これらが半夏(ハンゲ)、甘草(カンゾウ)などといっしょに働くことで、口内炎に対するよりよい効果を発揮します。また、別の漢方薬では、潰瘍、びらん、溝状舌、ハンター舌炎、舌痛症、口内炎による食欲不振を改善します。

口腔乾燥症・ドライマウスに対する漢方療法

唾液の量が十分でなく、口の中が乾く症状を口腔乾燥症と呼びます。唾液腺分泌量に影響する因子として年齢、唾液腺の炎症や腫瘍、シェーグレン症候群、糖尿病、栄養障害、薬物の服用、ストレスなどがあげられます。

治療法には、唾液分泌改善薬、唾液腺・耳下腺と顎下腺および舌下腺部のマッサージなどがありますが、漢方が有効な場合も多く見られます。

薬剤を服用することで起きる薬剤性口腔乾燥症では薬剤を簡単に中止したり、変更したりすることは難しく、そのような場合に漢方療法が有効になります。

漢方療法では、体の熱をさまし、口やのどの渇きをいやす働きがあります。

石膏(セッコウ)には、硫酸カルシウムを主成分とし、熱や炎症をひく強い作用があり、知母(チモ)、粳米(コウベイ)も熱をさまし、唾液量を促進し潤わす、滋養・滋潤作用をもつ人参(ニンジン)、緩和作用の甘草(カンゾウ)が加わり、これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。

また、ある種の漢方療法は、舌が腫れるようになり、起床時に歯の圧痕が付いたりなど、肥大舌を認める症状がある型に、水分代謝の改善を図ることで症状を改善します。利尿作用のある猪苓(チョレイ)、軽い発散薬である桂皮(ケイヒ)、その他、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、沢瀉(タクシャ)などが配合されてよりよい効果を発揮します。

顎関節症、くいしばり、歯ぎしりに対する漢方療法

くいしばりや歯ぎしり、これに関連した頭痛・肩こり・筋肉の凝りを改善する療法です。

桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草・葛根・麻黄を加えたもので、葛根には鎮痛作用がありとくに首筋の凝りをとる作用があります。

芍薬は代表的な鎮痛剤の一つで、生姜・大棗は全体の副作用を緩和する目的で加えられています。

三叉神経痛に対する漢方療法

神経痛や関節痛は中・高年の方に多い症状で、慢性化しやすい傾向もありますから、体質改善を目指した漢方療法が有効になります。

漢方では気・血の流れがつまって通じなくなり、それが「痛み」となって現れると考えます。

関節痛と神経痛を引き起こす代表的な原因は、湿気と冷えで、血管が収縮しますが、寒さ・冷えに弱い人は気・血の流れが阻害され、関節や神経が痛みます。

漢方治療ではそのメカニズムを応用して症状の改善を図ります。

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命を預かる歯科口腔外科診療

口の病気には口腔癌など命に直接関係する怖い病気以外にも、心筋梗塞や脳梗塞を起こす血栓の原因である歯周病菌や、誤嚥性肺炎の原因、敗血症の原因になる病巣、骨粗鬆症の診断など命に直結する疾患や原因が多く存在します。
私ども東京銀座シンタニ歯科口腔外科は、院長である新谷悟教授の25年に及ぶ口腔外科医として心血を注ぎこむ命を預かるクリニックとして開院いたしました。

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