舌の口内炎と舌癌はどう違うのか?

口内炎は、口の粘膜における炎症の総称で、口内炎ができると痛くて思うように食事ができなかったり、話がしにくかったり……。と口に中のトラブルの一つです。

口内炎のできる原因は免疫力低下、細菌、傷などで舌だけではなく、唇や頬の内側、歯茎など、口腔内のどこでもできます。

口内炎の種類

  •   免疫力の低下が原因と考えられる「アフタ性口内炎」

    アフタ性口内炎はストレスや疲労、睡眠不足などで免疫力が低下することや、ビタミンBが不足するなどある種の栄養不足も原因として考えられます。特徴としては、2~10㎜ぐらいの赤く縁取られた丸くて白い潰瘍をしており、触ると痛く、いくつか群がってできることもあります。
  •  口腔内の細菌やウイルスの増殖による「細菌性・ウイルス性口内炎」

    ヘルペスウイルスの感染による「ヘルペス性口内炎」や、カビの一種カンジダ菌の増殖による「カンジダ性口内炎」、梅毒、淋病、クラミジアなどの性行為感性症による口内炎もあります。ウイルス性などの場合は、小さな水疱ができ、それが破れ、びらん(ただれ)や潰瘍になり、場合によっては発熱や強い痛みを伴うこともあります。
  •  噛んだときの傷など機械的刺激による「カルタ性口内炎」

    合っていない歯の被せ物や食事中に噛んでしまったり、熱い飲み物によるやけどなどの口腔内にできた傷が原因でできる口内炎で、傷に細菌が入って増殖することで、粘膜に赤い腫れや水疱ができる。アフタ性口内炎と異なり、白っぽい潰瘍の境目が曖昧。
  •  金属アレルギーやたばこ喫煙などによるニコチンなど「その他の口内炎」

    金属や薬品・食物などに対するアレルギー反応でできる「アレルギー性口内炎」、喫煙習慣による「ニコチン性口内炎」など。もあります。

舌癌

舌癌とは、舌前方2/3(有郭乳頭より前方)とと舌の縁、下面に発生する悪性腫瘍(がん)で、口の中に発生するがん(口腔がん)の約50~60%を占め、最も発生頻度が高い悪性腫瘍(がん)です。

舌がんは男性に多く、50歳~70歳代に発症することが多いですが、50歳未満が4分の1を占め、20歳~30歳でも発症することがあります。舌がんの原因は明らかではないですが、飲酒か喫煙などの化学物質による刺激や、歯並びが悪いために歯が常に舌にあたる、合ってない入れ歯や虫歯といった機械的な刺激などが、舌がんを誘発すると考えられています。

舌がんのほとんどは、扁平上皮癌という種類ですが、ごくまれに、肉腫も発生します。

舌癌の症状としては、

●しこりがある(触ると硬い)

●舌の粘膜に色の変化が見られる(白い、赤いなど)

●舌粘膜のただれや口内炎のような症状ができてから2週間以上続く

■しびれや麻痺がある

■味覚障害がおきる

■しびれや麻痺がある

■少しの刺激で痛むことがある

■舌を動かしにくくなる

などがありますが、●は比較的初期でも起こる症状で、■はかなり進行してから起きる症状です。

舌の口内炎と舌癌の違い

口内炎は何もしなくても痛かったり、何かが触った時に痛みが出ますが、舌癌はよほど大きくならないと通常は痛みが出ません。

舌の口内炎と初期の舌癌の違いは、先ほど舌癌の症状で記載した

●しこりがある(触ると硬い)

●舌の粘膜に色の変化が見られる(白い、赤いなど)

●舌粘膜のただれや口内炎のような症状ができてから2週間以上続く

ということになると思います

症状 舌の口内炎 舌癌
しこり
(厚み)
感じない しこりを感じる
早期では厚みを感じる
色・境界
(縁どり)
灰白色
赤い縁取りで明瞭
赤や白など混在することもあり
境界は不明瞭
治るか? 2週間くらいで治る
治らない場合でも小さくなったり形を変える
小さくなることはない

以上より、口内炎だと思っても、もし2週間以上、症状が続く場合は、いつもと違う症状を感じた場合は、きちんと歯科医院を受診しましょう。

以下に、舌の口内炎と舌癌の写真を供覧します。参考になさってください。

  • 1mm程度の大きさのアフタ性の口内炎があります。粘膜はほとんど同じような色をしていますが、今後、灰白色になる可能性もあります。大きさも小さく口内炎とある程度、容易に診断できる症例です。

  • 比較的大きな舌の口内炎で、何か間違って噛むなどでできた傷に細菌感染が生じた可能性が高いと思われます。口内炎か舌癌など他の病気の可能性も頭に入れて慎重に経過を見ないといけない症例です。どちらかと簡単に決めるのではなく、口内炎と思っても症状や病変がなくなるまでの経過観察が必要です。

  • 小さい病変ですが、舌癌の症例です。赤い部分と白い部分は混在しており、触ると厚みを振れます。後方に白色病変があり、類円形ではなく複雑な形をしており、境界も不明瞭な部分が存在します。

  • 病変が隆起していることから腫瘍性病変であり、カリフラワーのような表面粗造感から舌癌の診断がなされるべき症例です。境界は比較的明瞭とも言えますが、不明瞭な部分も存在します。しこりを蝕知することで舌癌とわかる症例です。

口腔外科医のお役立ちコラム

Dr.新谷 悟が皆様に役立つのではないかと思ったものをコラムとしてご紹介いたします。

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