顎関節突起骨折

顎関節突起骨折とは

口をあける時、食事をしたり話したりした時に下あごが動きますが、その時の動きの支点になるのが顎関節で、耳の前にある顎関節は側頭骨の下顎窩と下顎の関節頭で構成されます。

この骨が折れるのが顎関節突起骨折で、顎を殴打された、転んで顎をぶつけたなどの事故により直接的な力が顎関節に加わるのではなく、ぶつけたところではなく、力が間接的に加わることで力が加わった部位から離れた部位が骨折するいわゆる介達骨折で、骨折をすることが多いのが特徴です。

X線による検査(パノラマ撮影法・後頭前頭方向投影法・眼窩下顎枝方向投影法)などで診断できる時もありますが、これらでは診断できず、CTにて骨折線、骨折部位を確認できることもありますので、CT撮影が重要になります。

なお、折れた小骨片は外側翼突筋により内前方に牽引されることが多いのも特徴です。

より詳細な分類として、関節包内骨折、下顎頸部骨折、関節突起基底部骨折に分けるほか、下顎頭の変位・転位によっても分類されます。

臨床症状

事故などに遭遇した後に、関節部(耳の前のあたり)の腫れ、痛み、開開口障害などの症状が出ます。

特徴的なのはどちらかの奥歯(臼歯)がかみ合わない、または、噛んでも前歯が開いてしまうなどの開咬という状態になります。

治療法

大きく分けて手術をせずに治療する方法と手術による治療があります。形態と機能の回復が望めるならば、手術による治療も選択肢になりますが、手術をしない保存的な治療と治療成績から機能的な面での予後に大きな差はないとの報告もあります。

骨折の状況や他部位の骨折の合併によって治療法が大きく変わると思います。

保存的な治療(手術をしない)の場合

  • 1.約1~2週間上の歯と下の歯に特殊な装置を付け、ゴムにより牽引し咬みあわせを改善する。
  • 2.骨折部位の安静を図るという意味で上の歯と下の歯を咬ませたままにして固定(顎間固定)を行う。
  • 3.機能回復のために早く積極的に開口訓練を行う。

観血的治療(手術を行って治療する)の場合

骨折部位、折れた骨片の変位に応じて、口の内からの切開、口の外からの切開(下顎下縁切開、下顎後切開あるいは耳前切開など)を選択し、直接的にあるいは内視鏡補助下に骨折した骨を元の場所に戻し、整復固定する手術を行います。

若年者の場合は出来るだけ手術などの観血処置を避ける方が良いと考えられています。確かに下顎関節突起骨折後、開口時の偏位が起こることはありますが、それを気にしなければ、手術は必要ありません。先ほど述べたように翼突筋によって引っ張られて内側に転位した骨頭は元通りには戻りませんが、ある程度は骨がリモデリングして新たな形ではありますが関節頭を形成します。

症例1

事故で顎を強打し、その後、耳の前の顎関節部の痛みと、口を開け閉めできなくなり、強く噛んでも噛みあわせが違う気がするとのことで、東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックに来られた患者さんです。

  • 両側の顎関節頭を比較した時に右側に比べて左側の顎関節頭の部分が、変形しているのがわかります。
    STEP1
  • 3DCT所見。後方から見た時に関節頭の一部が骨折して内側に筋肉でけん引され、遊離して観察されます。左右の顎関節頭を観察すると違いが明らかです。
    STEP2
  • CT所見。関節頭の一部が骨折して内側に筋肉でけん引され、遊離して観察されます。左右の顎関節頭を観察すると違いが明らかです。
    STEP3
症例2

両側関節突起骨折

症例3

右側関節突起骨折

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命を預かる歯科口腔外科診療

口の病気には口腔癌など命に直接関係する怖い病気以外にも、心筋梗塞や脳梗塞を起こす血栓の原因である歯周病菌や、誤嚥性肺炎の原因、敗血症の原因になる病巣、骨粗鬆症の診断など命に直結する疾患や原因が多く存在します。
私ども東京銀座シンタニ歯科口腔外科は、院長である新谷悟教授の25年に及ぶ口腔外科医として心血を注ぎこむ命を預かるクリニックとして開院いたしました。

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