外科手術を必要とする顎関節の疾患

顎関節は、耳の前に存在するいわゆる顎の関節で口を開ける、閉じるなどの食べる、しゃべるなどの機能にとっても重要な意味を持つ関節です。

最も多い顎関節の疾患は顎関節症であり、すでに記載したような症状や治療法などがあります。

しかし、その中には、他の顎関節にかかわる疾患が隠れていることもあります。

そこで、外科手術を必要とする顎関節の疾患について解説します。

顎関節強直症

顎関節は下顎骨の関節突起と頭蓋骨(側頭骨)の受け皿で構成されていますが、この二つの骨が長期にわたるリウマチ性疾患や、感染、外傷などの種々の原因により顎関節の変位や癒着が生じてしまい、顎運動障害が著しく傷害された状態が「顎関節強直症」です。

顎関節が変形、癒着すると前方滑走運動はおろか回転運動までが制限され、平均約1cmしか口が開かないという状況になることもあります。

顎関節強直症は10歳未満で発症するケースが多く、その後の顎の成長に悪影響を及ぼし、顔面非対称や小顎症といった顎のゆがみや発育障害につながる合併もよく見られます。

治療法としては、関節突起と側頭骨の癒着した部分を切り離す「顎関節授動術」が適応されますが、その際、同時に下顎頭頂部の骨削除や下顎頭切除術が行われることもあります。

また、骨の変形が著しい場合や手術後の再発症例には下顎技の中央で骨を切り離す「低位関節授動術」を実施する場合もあります。

※リウマチなどをお持ちの方で口が開きにくいと感じられている方は積極的に開口訓練をすることが、お勧めです。

症例

67歳、女性

通常の食事が食べられるようになりたい。

初診約20年前に関節リウマチ発症し、右関節リウマチ性股関節症と診断。その後、右人工股関節置換術施行。徐々に開口障害がみられ現在はミキサー摂取できない。

既往:腎炎・高血圧・自律神経失調症・高脂血症・脳脊髄炎・気管支拡張症。

  • 【CT所見】
    両側の下顎頭の肥大を認め、側頭窩の骨と境界が不明瞭になっており、骨性癒着が疑われる
  • 【術中写真】 顎関節授動術
  • 【口腔内写真】
    術後14日目、開口もできるようになり、食事も柔らかいものであれば、食べられるようになった

顎関節腫瘍

顎関節部の腫瘍は良性、悪性とも比較的少ない疾患です。

顎関節の腫瘍が大きくなると、顎の変形などをきたし、顔がゆがんでくるなどの状態を示すこともあります。また、腫瘍がそれほど大きくない場合には、雑音、運動痛など、顎関節症と同じような症状を呈することもあります。

CTなどでしっかりと診断することが必要です。

症例

29歳、女性

14歳頃より顔面非対称を自覚。

23歳頃に顎関節痛を自覚するも放置していたが、徐々に疼痛が増悪してきた。

  • 【CT所見】
    左側の顎関節に腫瘍を認める
  • 【術中写真】
    手術は全身麻酔で、下顎の関節頭の腫瘍を健常部分とともに取り出して、腫瘍部分のみを切除し、体内に健常部分を戻す形で行った
  • 【術前・術後】

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口の病気には口腔癌など命に直接関係する怖い病気以外にも、心筋梗塞や脳梗塞を起こす血栓の原因である歯周病菌や、誤嚥性肺炎の原因、敗血症の原因になる病巣、骨粗鬆症の診断など命に直結する疾患や原因が多く存在します。
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