外科手術を必要とする顎関節の疾患
顎関節は、耳の前に存在するいわゆる顎の関節で口を開ける、閉じるなどの食べる、しゃべるなどの機能にとっても重要な意味を持つ関節です。
最も多い顎関節の疾患は顎関節症であり、すでに記載したような症状や治療法などがあります。
しかし、その中には、他の顎関節にかかわる疾患が隠れていることもあります。
そこで、外科手術を必要とする顎関節の疾患について解説します。
顎関節強直症
顎関節は下顎骨の関節突起と頭蓋骨(側頭骨)の受け皿で構成されていますが、この二つの骨が長期にわたるリウマチ性疾患や、感染、外傷などの種々の原因により顎関節の変位や癒着が生じてしまい、顎運動障害が著しく傷害された状態が「顎関節強直症」です。
顎関節が変形、癒着すると前方滑走運動はおろか回転運動までが制限され、平均約1cmしか口が開かないという状況になることもあります。
顎関節強直症は10歳未満で発症するケースが多く、その後の顎の成長に悪影響を及ぼし、顔面非対称や小顎症といった顎のゆがみや発育障害につながる合併もよく見られます。
治療法としては、関節突起と側頭骨の癒着した部分を切り離す「顎関節授動術」が適応されますが、その際、同時に下顎頭頂部の骨削除や下顎頭切除術が行われることもあります。
また、骨の変形が著しい場合や手術後の再発症例には下顎技の中央で骨を切り離す「低位関節授動術」を実施する場合もあります。
※リウマチなどをお持ちの方で口が開きにくいと感じられている方は積極的に開口訓練をすることが、お勧めです。
顎関節腫瘍
顎関節部の腫瘍は良性、悪性とも比較的少ない疾患です。
顎関節の腫瘍が大きくなると、顎の変形などをきたし、顔がゆがんでくるなどの状態を示すこともあります。また、腫瘍がそれほど大きくない場合には、雑音、運動痛など、顎関節症と同じような症状を呈することもあります。
CTなどでしっかりと診断することが必要です。