東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックの新谷 悟が、お口のことを解説する”新谷 悟の「お口の博士」”というYouTube番組を立ち上げました。なるべく分かりやすく説明していきますので、一度ご覧ください。

Vol.01 親知らずとは

Vol.02 親知らず抜歯01

Vol.03 親知らず抜歯02

親知らずとは

親知らず・親不知(おやしらず)とは、第三大臼歯および第三大臼歯のことを言います。

思春期後半から20歳以降に生え始めることが多いため、親に口の中を見せる時期を過ぎて親が知らないうちに生えるということでこの名前になったようです。

現代人では顎が小さくなっており完全に生えてこない場合も珍しくありません。

親知らずの症状

  • 奥歯のあたりが痛い、腫れる、膿のようなものが出る
  • 奥歯のあたりから臭いや変な味がする
  • 口が開きにくい、口を開けるときに痛い
  • 歯ならびが悪くなってきた(親知らずが歯列を押します)

親知らず抜歯の利点・欠点

メリット

・歯磨きがしやすくなる
・親知らずが原因の口臭が解消される
・歯並びが悪くならない
・妊娠期間は母子共に安心

デメリット

・数日間ほど腫れる場合がある
・傷が治る1ヶ月は抜いた後に食べ物が詰まることがある
・非常にまれだが顎の神経に影響が出る場合がある

若い女性にお勧めする理由

女性の場合、特に妊娠前、結婚適齢期の前に親知らずの抜歯をお勧めします。

妊娠するとホルモンバランスの影響で親知らずが激しく痛むケースがあります。

そうなるとおなかの中に赤ちゃんがいるのに、X線写真を撮ったり、痛み止めのお薬や抗生物質のお薬を飲まないといけなくなります。

そのために妊娠中や授乳中は、たとえひどい痛みがあっても親知らずは抜歯できないですし、お薬による治療も赤ちゃんへの影響を考えると行いたくないのが実情です。

そのため、妊娠する前に親知らずを抜歯することが勧められています。

親知らずはどこで抜くか?

親知らずの抜歯は基本的には保険治療です。どこの医院でも親知らずの抜歯は対応していますが、難しい抜歯の場合には大学病院や大きな病院の口腔外科に紹介されます。

当院の新谷教授は口腔外科のエキスパートですので、全ての症例において当院で対応できます。無痛治療を徹底いたしておりますのでご安心ください。

海外に在住の方や、通院になかなか時間がとれない方、矯正歯科治療を早く始めたい方などは、親知らずを短期間の通院で抜くことも行っております。

眠っている間に治療が終わる静脈内鎮静法を用い、麻酔専門医のもと抜歯を行います。詳しくはご相談ください。

※鎮静リラックス麻酔、CT撮影などを必要とする場合には保険適応外になることもあります。

親知らずの抜歯と神経麻痺

親が知らない(子供の口に中を見ないようになった年齢)で生えてくる親知らず。この親知らずの抜歯には、厄介な合併症があります。それが神経麻痺です。

顔がゆがむ(顔面神経麻痺)が生じることは皆無ですが、下唇の周辺であるおとがい神経麻痺が出ることはしばしばです。その多くは、一過的なものですが、一生続く場合も!

どうしても避けられない合併症ですが、医療事故、医療ミスも見え隠れします。

口腔外科専門医、指導医など経験と知識・技術を持った先生に抜歯してもらうことが大切です。大学病院だから安心ではなく、(大学病院で研修医が抜歯を担当することも多いため=教育病院として仕方ないのですが)、専門医、指導医などの経験が大切です。

親知らずの2回法抜歯術について

十分な知識と技術の必要な方法です

下顎の親知らずの歯根の先には下顎の神経(下歯槽神経)が走行し、歯根と接していたり、神経と動脈・静脈が入っている管(トンネルのようなものと思っていただくとイメ-ジが付きやすいかもしれません)に歯根が入り込んでいる場合もあります。そのような場合には歯根の先が神経と交錯していることもあり、親知らずの抜歯の際に神経が傷つき、麻痺が生じる場合があります。

このような事態を避けるための方法が2回法抜歯術です。

2回法抜歯術では、1回目の抜歯の際に、おもに歯冠部(歯の頭の部分)を歯根から切断し、歯冠部を除去します。そして、残った根の部分(歯根)はそのままにして粘膜を縫い合わせて封鎖します。このことを「歯冠切除術」ともいいます。

その後、3か月から約半年が経過し、歯(残った歯根部)が、徐々に頭(歯冠部)があった方向に移動して根の先が下歯槽神経(下顎管)から離れた時点で2回目の抜歯(残った歯根部の抜歯)を行います。このことで、神経を傷付けることなく、オトガイ神経麻痺のリスクを少なくして、残った歯根を安全に除去することができる優れた方法です。

しかし、十分な知識と技量をもった執刀医でなければ優れた方法どころか最悪の結果を招きます。

私のクリニックには、歯冠だけ取って歯根を残し、2回目の抜歯の前に同部から膿がでてきて下顎骨骨髄炎になりかけていた症例や誤った舌神経麻痺(下の半分の知覚と味覚が減少しております)を生じた患者さんが来られています。

抜歯の難易度と分類

親知らずは一般の歯科医院では抜けないことも多く、口腔外科専門医、指導医のいるクリニック、あるいは総合病院の口腔外科や大学病院で抜歯してもらわないといけないことも多い病気です。

親知らずの生え方には主に3つありますが、生え方によって抜歯手術の難易度が変化します。そこで、生え方をきちんと分類して診断しようと考えたのがArcher(1975)先生と Kruger(1984)先生。次の図のように分類しました。

Classification of impaction of mandibular third molars, according to Archer (1975) and Kruger (1984).

  • 1.Mesioangular【近心傾斜(手前に斜めに生える)】
  • 2.Distoangular【遠心傾斜(後ろの方に斜めに生える)】
  • 3.Vertical【垂直方向(比較的まっすぐ生える)】
  • 4.Horizontal【水平(完全に横向きに生える)】
  • 5.Buccoangular【頬側傾斜(頬の方に斜めに生える)】
  • 6.Linguoangular【舌側傾斜(舌の方に斜めに生える)】
  • 7.Inverted【逆性(逆立ちしている)】

でも、もっと簡単に頻度の多いものを考えると、

真っすぐタイプ

真っすぐ生えていれば、奥歯と同じように抜歯が可能なタイプですが、根が曲がって骨を抱いていたり、後ろの方が骨に埋まっていたりして、あまり、経験のない先生が、「すぐ抜けますから任してください」といって、抜くのに1時間もかかったということが起きる可能性もあるのがこのタイプです。歯根の彎曲や肥大などの診断が重要!

歯根も真っすぐであれば、奥歯と同じように抜歯が可能です。

斜め(半埋伏)タイプ

親知らずのトラブルが最も多いタイプとも言えます。中途半端に骨や粘膜から親知らずが顔を出しているために、炎症が起こりやすく、前の虫歯との間に虫歯ができて痛みが出たり、口臭の原因になることも多いのが、このタイプです。前の歯の下に潜り込んでいる歯の一部を削って分割して抜歯することが多いタイプです。

水平埋伏タイプ

親知らずが完全に横になっているタイプ。抜歯の時に、骨の一部を削除し、歯を歯冠と歯根で分割することが多いタイプです。親知らずが完全に倒れ込み、前の歯の歯根を横から押す感じで埋まっているタイプです。親知らずを割って2~3個に分離してから取り出したりと、抜歯には技術が必要です。

親知らずの手術の難易度はこれだけでは決まりません。

抜歯の難易度を上げる要素
  •  歯の形態

    前の歯の下に食い込んでいたり、根が湾曲していたり、肥大していたり、複数本の根が曲がっていたり、骨を抱くようになっていたり、抜歯する方向に逆らうように歯の根が開いていたり、引っかかる部分があったり、そのような場合には抜歯の際に苦労することもあり増す。
  •  口の開き具合

    あごが大きく開けられない場合には、抜歯の器具が奥まで届きにくく抜歯がスムーズに行かないこともあり、抜歯に時間がかかることが多くなります。
  •  下顎の中を走る血管神経

    下顎の骨の中に下顎管というとんねるがあり、その中には太い神経(下顎神経)と血管(動脈と静脈)が走っています。親知らずは、この血管神経の近くにあることが多いため、抜歯時にどうしても神経に影響を与えるリスクが高くなります。唇やその周囲のオトガイと言われる部位にしびれや麻痺が残ることや著しい出血が起こることもあります。

Classification of impacted mandibular third molars according to Pell and Gregory (1933): a according to the depth of impaction and proximity to the second molar; b their position according to the distance between the secondmolar and the anterior border of the ramus of the mandible.

上の図で黄色い線が先ほどお話しした【下顎管】というトンネルです。

親知らずの抜歯後、下顎管(下歯槽神経)が露出した症例です。CTによる観察と抜歯時に十分注意して抜歯を行ったことで、露出はしましたが、神経麻痺はありません。

抜歯後に膿が出る。違和感が取れない。腫れることがある。

親知らずの抜歯後、いつまでたっても痛みが続いたり、違和感が続いたりすることがあります。通常は、3日目ほど腫れて、その後、1週間ほどで腫れも痛みもなくなります。

しかし、非常に難しい抜歯であったり、その抜歯後に感染を起こしたりすると、しばしば、腫れや痛みがなかなか治らない場合があります。

さらに、何か月か経っても違和感が残るような場合は、手術が適切に行われたかを疑ってみることも必要です。

症例

30歳代・女性

知り合いに紹介され、地元で親知らずの抜歯ができるという歯科医院で抜歯。2時間かかったとのこと。その後、オトガイ部に神経麻痺が残るも、そのうちに治ると言われ奉仕された。

違和感が抜歯後4か月経っても治らず、当クリニックに来院されました。

抜歯窩付近を押すと排膿があり、通常のパノラマ写真では疑いはあるものの、はっきりとはしなかったためCTを撮影したところ、歯を分割した時の破片が多数、残存していました。これが、排膿の原因でした。再度、傷口を開き、破片を一個一個丁寧に摘出して、症状改善しました。

歯の破片を取り残し、排膿が続いているために、抜歯窩も十分に治癒していない。

歯の破片は骨の上に3つあるのがわかる。

歯の破片は骨の中にも取り残している。

治癒していない抜歯窩と神経の関係を見ると麻痺が出る可能性はあるものの、適切な抜歯か否かの疑問は残る。

術前に説明していないのはアウト!

この断面にも残存した歯の破片が存在する。

About Us

命を預かる歯科口腔外科診療

口の病気には口腔癌など命に直接関係する怖い病気以外にも、心筋梗塞や脳梗塞を起こす血栓の原因である歯周病菌や、誤嚥性肺炎の原因、敗血症の原因になる病巣、骨粗鬆症の診断など命に直結する疾患や原因が多く存在します。
私ども東京銀座シンタニ歯科口腔外科は、院長である新谷悟教授の25年に及ぶ口腔外科医として心血を注ぎこむ命を預かるクリニックとして開院いたしました。

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  • 平日  10:00~13:00 / 14:30~19:00
  • 休診日  日曜、祝日

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