口唇腫瘍 Lip tumor
口唇腫瘍とは
口唇腫瘍(くちびるにできるできもの)についてこの項では、口唇に発生する良性腫瘍について解説します。口唇は、筋肉(口輪筋)、結合組織、血管、上皮からなる部位で口唇腺という小唾液腺も存在する部位です。
ここでは、小唾液腺から発生する粘液嚢胞(真の腫瘍ではなく唾液の貯留嚢胞)も含めて症例提示します。
粘液嚢胞
症例1(20歳代 女性)
口唇のできものが大きくなったり小さくなったりすることを気にして来院されました。半球状の少し粘膜下に透明感のある水疱性病変として観察され、粘液嚢胞と診断しました。摘出術を施行しました。

症例2(30歳代 男性)
口唇のできものを気にして来院されました。半球状の少し粘膜下に透明感のある水疱性病変として観察され、粘液嚢胞と診断し、摘出術を施行し治療としました。

その他の粘液嚢胞症例
粘液嚢胞の手術
「40歳代 男性」左側の口唇の腫瘍を主訴に当クリニックを受診されました。粘液嚢胞の診断で説明を行った後、摘出術を希望したため摘出術を施行しました。
左側の口唇に半球状の腫瘍性病変を認めます。粘膜下に透明な粘液を含む弾性軟の腫瘍を蝕知しました。
眼瞼翻展器を用いて口唇を把持します。これにより局所の止血が適切に行うことができ、また、腫瘍を水平な面で把持することができます。口唇を持つ手術助手の手数も減らすことができます。局所浸潤麻酔を行い、メスで腫瘍に沿って木の葉状の切開を行います。上皮下には粘液嚢胞の薄い膜を確認することができます。
上皮と粘液嚢胞壁を愛護的に持ち上げカウンタートラクションをかけて牽引しながらメスで周囲の結合組織との鋭利な剥離を行います。メスは切る感じではなくてカウンタートランスラクションをかけて削ぐ感じで用いることが重要です。
上皮と粘液嚢胞を摘出した後に、周囲の口唇腺(↓)を切除することが再発防止に役立つため、周囲の口唇腺も一緒に切除します。
摘出後の創の状態を示します。周囲の口唇腺も切除されています。4-0ナイロン糸で縫合して手術としました。
血管腫
血管の走行が変化し、異常な塊を作る疾患です。血管腫は血管がとぐろを巻いたようになって形成されるものなので、粘膜の薄い部分では透けてみえ、赤黒く(暗紫色)膨らんだような腫瘍として確認できます。一般的に痛みはありませんが、表面が膨らんでくることが多いため誤って咬みやすく、それにより傷つき、痛みや出血が生じることがあります。
症例1(40歳代 女性)
左側下唇のできものに気付き様子を見るも、変化しないために来院されました。少しコリっとするとのこと。視診による暗紫色をした腫瘍性病変で圧迫により退色することから血管腫と診断しました。コリっとするのは、血管腫内の静脈石と考え、患者さんと相談して腫瘍摘出術を施行しました。

症例2(40歳代 女性)
右側下唇のできものの精査を主訴にクリニックを受診されました。視診、触診から、暗紫色をした腫瘍で血管腫と診断し、腫瘍摘出術を施行しました。

その他の口唇の血管腫症例
血管腫の手術(口唇腫瘍摘出術)
「40歳代 男性」口唇の暗紫色の腫瘍を主訴に来院されました。患者さんと相談して摘出術を施行しました。
粘膜下に暗紫色の血管がとぐろを巻いている血管腫を認めます。眼瞼翻展器で口唇を挟むと血管が怒張して腫瘍が明確になります。
逆に局所浸潤麻酔を行うと、浸潤麻酔薬の中に含まる血管収縮剤(エピネフリン)により、血管が収縮し、色が薄くなるため腫瘍がわかりにくくなります。腫瘍周囲の上皮を木の葉状に切開して、血管腫とともに上方に牽引してカウンタートラクションをかけ、口唇の結合組織とともに摘出します。
血管腫を取り残さないように切除していきます。メルクマールとしては口輪筋よりも上層を切除するように行います。
摘出物と縫合後の所見。4-0ナイロン糸で縫合しています。
線維腫
口腔内に発生する良性の腫瘍で、主に結合組織が増殖したものを指します。これは外的刺激によって形成されることが多く、口腔の様々な部位に発生します。
線維腫は一般的に無痛であり、粘膜の一部が膨らんで見えるのが特徴です。発生頻度は比較的高く、多くの人に見られる腫瘍ですが、基本的には悪性に変化することは稀です。主に上皮下に存在する結合組織が増殖した腫瘍です。粘膜を何回も噛んだり、歯ならびの関係などの外的な機械的刺激によって形成されることが多く、口の中の様々な部位に発生します。
線維腫は無痛であり、表面の色は正常粘膜の色と同じで粘膜の一部がやや硬い膨らみとして認識されることが多いです。
症例1(30歳代 女性)
左側口唇の腫瘍性病変が気になり、当クリニックを受診されました。口角部付近にやや弾性硬の腫瘤を認め、視診、触診から繊維腫と診断して摘出を行い、病理組織学的にも線維腫(Fibroma)の診断を得ました。
線維腫の手術(口唇腫瘍摘出術)
「30歳代 女性」口唇の弾性硬の腫瘍を主訴に来院されました。患者さんと相談して摘出術を施行しました。
眼瞼翻展器を用いて口唇を把持します。これにより局所の止血が適切に行うことができ、また、腫瘍を水平な面で把持することができます。
腫瘍にカウンタートラクションを十分にかけるために腫瘍に糸をかけて十分に牽引します。ピンセットなどで把持する方法もありますが滑る可能性がありまた強く把持することで腫瘍を挫滅させる可能性もあるため糸で牽引する方がよいと考えています。いずれにしても十分なカウンタートラクションをかけながらメスを腫瘍の周りに木の葉状に切開を加えます。
腫瘍を牽引してメスを腫瘍と結合組織の間に削ぐように使い剥離することで腫瘍が周囲組織から剥離され、そのまま剥離を続けて腫瘍を摘出します。
4-0ナイロン糸で縫合して手術としました。
脂肪腫
脂肪腫は、成熟脂肪細胞の増殖からなる脂肪組織からなる良性腫瘍で、皮下や粘膜下の脂肪が存在する組織に発生し口腔でも発症は比較的稀なもののみられます。
頬粘膜部、舌、口底に好発し、弾性軟の腫瘤状病変です。成熟脂肪細胞の分葉状増殖が認められます。
脂肪腫の手術(口唇腫瘍摘出術)
「40歳代 男性」口唇の弾性軟の腫瘍を主訴に来院されました。粘膜下に黄色色の腫瘤性病変を認め、弾性軟であったことより、口唇での発生はまれなものの、脂肪腫あるいは線維腫と診断して病理組織診断を確定させることも目的に患者さんと相談して摘出術を施行しました。
眼瞼翻展器を用いて口唇を把持します。これにより局所の止血が適切に行うことができ、また、腫瘍を水平な面で把持することができます。局所浸潤麻酔を行います。
線維腫など他の良性腫瘍と同じようにカウンタートラクションを十分にかけるために腫瘍に糸をかけて十分に牽引します。ピンセットなどで把持する方法もあるが滑る可能性がありまた強く把持することで腫瘍を挫滅させる可能性もあるため糸で牽引する方がよいと考えます。いずれにしても十分なカウンタートラクションをかけながらメスを腫瘍の周りに木の葉状に切開を加えます。

腫瘍を牽引してメスを腫瘍と結合組織の間に削ぐように使い剥離することで腫瘍が周囲組織から剥離され、そのまま剥離を続けて腫瘍を摘出します。
摘出物の所見、病理組織診断に提出して診断は脂肪種でした。4-0ナイロン糸で縫合して手術としました。









































